FC2ブログ

ブラックホールの蒸発 

先日、高氏と飲んでいてLHC(大型ハドロン衝突型加速器 )でのマイクロ・ブラックホールの話題で盛り上がった。

まず発生しても全く問題がない理由として
1)小さいブラックホールは一瞬にして蒸発する
2)そもそも陽子の質量程度のブラックホールなので吸い込まれるわけがない
とか話しましたな。

2)については、たとえば地球をブラックホールにするには、どうにかして直径を1.8cm以下にしてしまえばよい。そこまで小さくしても重力は今と同じだ。今の地球表面から脱出するには第二宇宙速度である11.2km/sの速度が必要なわけだが、この地球ブラックホールの表面(事象の地平面)からの脱出速度は光の速さである30万km/s以上となる。つまり光でさえも脱出ができないわけだ。

この地球ブラックホールの中心から高さ6400km付近では今の我々が感じている重力を感じる。地球ブラックホールに対し止まっていれば落ちていくだろうし、7.9km/sで運動していれば人工衛星のようにブラックホールの周りを回ることになる。

でだ、陽子程度の質量のものがブラックホールになっても質量は陽子と同じわけだから引き寄せられない。ピンポン玉の重力を感じない程度以上に感じないのだ。

愛しい彼女がブラックホールになっても、それくらいの質量の引力では匝を吸いこんでくれないわけだ(なんだこのたとえは)。

ついでにそんなに小さな質量では事象の地平面もめちゃくちゃ小さい。穴が小さいわけですよ。
おそらく原子よりはるかに小さい。原子だって、電子と原子核間はスカスカですから、マイクロブラックホールは原子の中を素通りする場合が多いと思う。

次に1)についてだ。

ブラックホールの蒸発はなかなか説明が難しいし、匝の理解も進んでいないが、恐れずに説明しよう。

蒸発の話はベッケンシュタイン博士が予言し、かのホーキング博士が提案した仮説だ。
簡単に言うとブラックホールは従来考えられていた光をも吸い込む完全黒体ではなく、わずかに熱放射をしているという。つまりわずかに輝いて(エネルギーを放射して)いるというのだ。

なんてこったい!どういうわけだ!!

ここで突然に量子論の話。
ものすごく小さな範囲の世界では、不確定なことがらが多くなる。
たとえば原子などの位置と運動量は同時に確定できない。一般に温度が高くなると原子はどんどん振動し、固体から液体、気体へとバラバラになると考える。逆に温度を低くしていくと原子はどんどん動かなくなり絶対零度までいけばピタリと止まってしまうと考えることもできる。
が、実際にはそうならない。
もしピタリと止まったら運動量が0で位置は確定してしまう。この物理世界はそれを許さないのだ。

これはエネルギーと時間でも同じことが起き、ものすごい短時間では同時に確定できない。
海の波を思い浮かべればよい。波は一種のエネルギーなのだが、これを測定するには一波分の時間をかけないとわからない。一波が通過しない短時間ではエネルギーを確定できない。

これらを不確定性原理という(ずいぶんとはしょているが)。

さて逆に言うとものすごく短時間(瞬間)であれば、何もない真空中であっても高エネルギーが発生してもよいとの数式の結果だ。真空中に不確定性原理によって高エネルギーが発生すると、粒子と反粒子が生成(対生成)され、次の瞬間に消滅(対消滅)する。

これはブラックホールの近くでも起きている事象だ。ブラックホールの事象の地平面ギリギリで対生成が起こると、発生した粒子または反粒子がブラックホールに吸い込まれてしまうことがある。すると片割れが残ってしまう。粒子が残された場合、遠くの観測者からはブラックホールから粒子が飛び出したようにみえる。

反粒子が残された場合は、空間に存在する粒子と対消滅して高エネルギーが発生。また対生成され…を繰り返した結果、粒子だけがブラックホールから飛び出す。

遠くからの観測者はブラックホールから粒子が飛び出したように見え、事象の地平面の内側から反粒子が時間を遡りながら事象の地平線の外に出た瞬間に粒子に変わって観測されるように見えるというのもWikipediaを読むとありなんだな。

真空(無)から対生成いした残りの粒子を生成したエネルギーは誰かが負担しなければならない。ブラックホールから粒子が飛び出しているように見えるので、ブラックホールがエネルギーを放出していると考えるわけだ。さらにエネルギーと質量は等価だから、この現象が発生するほどにブラックホールは質量を減らしていく(はず)。

これは小さなブラックホールほど顕著であり、マイクロブラックホールが発生してもブラックホールの質量がめちゃめちゃ小さい(陽子程度の質量)なわけだから、反粒子を取り込んだ段階でブラックホールは消滅(蒸発)してしまう…という説でマイクロブラックホールが発生しても安全といわれているわけだ。

ま、匝の理解としてはこんなところだ。もっとも仮説なので実際はどうなるかわからないけれど。

ところで天文学で扱うような大きなブラックホールでは、大質量ということもあって過去の宇宙誕生からの時間くらいでは蒸発しない。

ブラックホールはエネルギーを放射しているとはいえ、熱的には宇宙背景放射の温度、絶対温度で2.7Kより低温だ。このため宇宙空間からどんどん吸い込んでしまうだろう。

ただ宇宙背景放射の温度はどんどん下がっているので、遠い将来、絶対温度で0k近くなるとブラックホールの温度の方が高くなって放射量が爆発的に多くなると考えられている。

宇宙の最後はどうなるんだろうか…

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://eniguma.blog85.fc2.com/tb.php/1057-542eb548