FC2ブログ

ペースメーカーと電波 

2日、小田原へ行った時のこと。
ガラガラの電車の乗車し、PHSでメールチェックをしていると、向いの優先席に座るおばさんが弱々しく
「携帯電話の電源を切ってください」と言ってきた。
驚いて、もう一度確認するとやはりそういい、胸に手を当てる。どうやら心臓用ペースメーカーを使用しているらしい。

怪訝そうな表情をしつつも、患者さんは不安に感じているわけだから何も言わずにPHSの使用をやめた。電源を切らなかったのは、科学的に意味がないためだ。

最近の携帯電話端末でも影響があったのは、ペースメーカーを仕込んだ人体ファントムから2センチ程度。PHS端末は過去の実験から既に問題のないレベルであり、同様のしくみであるコードレスホン子機も問題はない。ただ初期の携帯電話端末では10数センチで軽度の影響があったとのことで、安全係数を掛けてペースメーカーの位置から22センチ以内に近づけないことが注意されている。

問題のないPHSやコードレスホンも上述の22センチ以上離すことを求められるが、これは電磁波の影響ではなく、携帯電話端末と見分けができないという理由で携帯電話端末と同列に扱うこととされている。

以上の携帯電話端末はハンディータイプであり、肩掛け式などはアンテナから30センチ離れること。

ペースメーカーと携帯電話の影響の実験方法
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/pdf/080530_9_bt2.pdf

優先席での携帯電話端末の電源をオフにすることは、携帯電話端末とペースメーカ患者とが着席していると22センチ以内に近づく恐れがあるという意味では有効だと思うが、鉄道事業者もかなり不安げなことを言ったため逆に患者の不安感を増長したとしか思えない。現代の情報化社会では、ペースメーカー患者も携帯電話端末を所持していることも考えられ(ペースメーカーの取扱説明書に使用する際にはペースメーカーの埋め込み位置と反対の耳で使用する旨の記載あり)、いたずらに恐れる必要はないと考えられる。

むしろ22センチのことを考えれば、満員電車など胸などに入れた携帯電話端末がペースメーカー患者の埋め込み位置に接近する方が誤作動する可能性があるわけだ。実は補聴器を使用している人も携帯電話端末によるノイズの影響があるとのことで、やはり満員電車での携帯電話使用は控えるべきだし、鉄道事業者も注意喚起するならこの点を注意すべきだろう。注意しないのは認識不足か、実験結果から問題がないのを知っているかのいずれかだと勘ぐってしまう。

ところで、世の中電磁波があふれているが他に誤作動となる機器はあるのだろうか。

ペースメーカーナビ:日常生活について
http://www.pacemaker-navi.jp/life/index.html

IH炊飯器やIH調理器の誤作動の可能性が記載されている。IH調理器の場合、誤動作でめまいを起こし調理器に倒れ込むということも想定すれば、二次的に危険かもしれない。
電動歯ブラシや電動カミソリも意外と誤動作の元のようだ。
また一部の無線LANでも誤作動の事例があった(機種の公開はなし)。
自動車のスマートキーシステムも誤作動の可能性があるらしくアンテナから22センチ以上離れることとされる。
アマチュア無線は残念ながら電波が強いため使用を避ける。草刈機や旧式の原付などもエンジンからの電磁ノイズが激しいので使用を避けたり、近づかない方がよいそうだ。

家庭の外では、suicaなどの非接触型ICカードの読み取り装置。これは装置から12センチ以上離れることと注意されている。自動改札も足早に通過ですね。

もっとも強力なのは盗難防止ゲートなどの電子タグシステム(RFID)。いろいろなタイプがあるがゲートタイプ(EASを含む)は中央を速やかに通過する。ハンディータイプ(あくまで商品管理)ではペースメーカーから22センチ以上離すこと。そして据え置き型(高出力950Mhz帯パッシブタグシステムに限る)の場合は半径1メートルに近づいてはならない。

空港の金属探知機も影響があることから、ペースメーカ手帳を提示し、ゲートの通過やハンディータイプの金属探知機を使用しない方法をお願いする。

ペースメーカーの動作モードの変更はプログラマーという機器を使用する。ペースメーカー埋め込み位置にプログラマーのヘッドホルダーと呼ばれるコイルの付いた吸盤のようなものを装着し、磁場を使ってペースメーカーのプログラムを変更する。このためもあるのか、電磁気に対して敏感なのかも知れない。

日本光電:ペースメーカプログラマ
http://www.pacemaker-navi.jp/life/index.html

逆にいうとペースメーカーはかなり安全性が高いと考えられる。あえて避けるべきことを行う必要はないが、少なくとも日常生活レベルでは直接命に関わる危険は少ないようである。もっとも立ちくらみで倒れて怪我をする危険は否定はできないが、ある程度の注意で事前に危険を避けることはできそうだ。そのためにも何が危険で、どこまでが安全かという知識は必要だと思う。これは患者自身も健常者もだ。特に鉄道事業者はペースメーカーの不安感を利用して、携帯電話のマナーに利用していると感じるのだが、それは勘ぐりすぎ?

匝が今回初めて知ったのは電子タグシステム(RFID)の危険性だな。RFIDは複数のタグを一度に読み取ることができ、特に900MHz帯は読み取り距離が長く、今後図書館や倉庫・物流で使用される場面が多くなるだろう。お買い物をしたままゲートを通過するだけでレジ精算ができてしまう。万引きしても、ゲートを通れば「おいくら」と表示されてしまうわけだ。この便利さがペースメーカーにとって脅威になるとは…。

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://eniguma.blog85.fc2.com/tb.php/1585-5bdd761f