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王子と乞食 

王子と乞食
王子と乞食Mark Twain 大久保 博

おすすめ平均
stars少年少女に伝えたかった事
starsおもしろかったよ。
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「イングランド国王エドワードが、汝を伯爵に叙する!」
王子(入れ替わっている間に先王が崩御する)が乞食と入れ替わり、王族の威厳を保ちながらも乞食として階級の底辺を、ある時は殴られ、ある時は逃げだし、ある時は辱めを受けつつ、最後に捕らわれの身となった時、ひょんなことから同行することになった落ちぶれ貴族が王子の身代りに鞭打たれた刑場での言葉だ。正直、ホロッときましたね。

500ページもある厚手の本を飽きることなく読むことができるか自信はなかったのだが、非常に読みやすく、また19世紀を彷彿とさせる挿絵も多く難なく読むことができた。おそらく小学校高学年から大人まで普通に読めるものだ。いくつかの漢字にはふりがなも振られている。特に乞食となった王子のことを読むとハラハラさせられることが多いのだ。

「○○と××」というタイトルはイソップ寓話のような感じを受ける。そして一定の教訓のようなものが書かれているかというとそうではない。読み手の年齢や考え方によって、その捉え方は大きく違ったものになると思われた。

本書は、王子は乞食の子を招きいれ、王子の好奇心から着衣を交換し、不注意から宮殿外へ出てしまうところから始まる。乞食になっても王子は王族の威厳を忘れることはなく行動したが為に苦難をすることに。また王子になった乞食は戸惑いながらも王子を演じ続けた。実はもうひとり重要人物として落ちぶれ貴族が登場する。この貴族は出征し、苦難の果て大陸から故郷へと向かっている最中だった。この貴族は乞食となった王子と出会い、王子と自称する可哀想な子と思いながら夢の中の王子として接することになるが、実は自分も似たような境遇になるとは夢にも思っていない。

貴族が親族から疑われている時に、同じく乞食の妄想と思われている王子(国王)から
「私はそちを疑ってなどおらぬ」
と言われた後に
「そちは、私を疑うか?」
の言葉は何とも複雑な気持ちにさせられる。

しかし先に書いた伯爵に叙せられた後の落ちぶれ貴族の言葉が、この物語の核心を表していると思う。
「…。だがオレは、そうしたもの(乞食が授ける爵位)を大切にするはずだ。それらがみんな価値のないものであってもな。なぜなら、それらを授けてくれるその優しい心根が尊いからだ。オレがもらったこのつまらぬニセ爵位の方が遙かにましだ。この爵位は、求めもしないのに、清らかな手と正しい心から与えられたものなのだからな。それに比べて、いくら本物の爵位でも、それを奴隷根性によって、不承不承の下心ある権力者から金で買ったものならば、何の価値もないのだ」

本来の物語は“慈悲”をテーマにしているように感じるが、匝には上に立つ者、下々の生活や仕事を知り、上に立つ者も規則に従い、また下々にはその行為に情をかける、そういうことも言いたいのではないかとも感じた。これは乞食になった王子(国王)だけでなく、国王になった乞食にも言える。
やはり読む年代や立場でいろいろと捉え方が違うように思うな。

「王子と乞食」は実在のイングランド国王、エドワード6世をモデルにしている。そのため読んだ後にでもエドワード6世とその父王と姉たちについても調べると、物語中の出来事が少しわかることができるだろう。

あと、大久保博氏の現代語訳が、とても読みやすくお薦めだ。
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