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カマトトぶって 

蒸し暑さにだらけ伸びきっている匝のもとへ、腕を組み何か思案げな顔で、なんだろう君がやってきました。


やぁ、なんだろう君。随分と深刻そうな顔をしているが、夕飯の献立でも考えているのかい?
似合わないからやめた方がいいよ。

なんだろう君
そうじゃないんですよ。人生の大きな難問にぶつかっているんです。


ほう。それはそれは。恋愛関係かい?

なんだろう君
残念ながら違います。もっと奥が深いもので、子どもにとって繰り返される謎です。


ん~、ニワトリが先か、タマゴが…

なんだろう君
違いますよッ!ボクが真剣に悩んでいるのにどうして茶化すんですか!


いやいや、そういうつもりじゃなかったのだよ。そもそも君のいう奥深い謎とはどんなものなんだい?

なんだろう君
“赤ちゃんはどこから生まれるか”ってテーマです。


いやぁ、びっくりだ。そんなことで悩んでいたのかい?カマトトぶってちゃいけないよ。そもそも君は何歳…

なんだろう君
ボクじゃないですよ。知り合いの小学1年生から真剣な顔で聞かれたんです。
「最近ボクに弟か妹ができるの。でもどこからくるのかな」って。


それで君はなんて答えたんだい。

なんだろう君
あ~、コンビニ?って答えました。


おいおい、いつから赤ちゃんがコンビニで売られることになったんだい。

なんだろう君
えぇ、だって突然だったんで、とっさに答えてしまったんですよ。
じゃ、匝さんはどう答えるんですか?


うむ。そういう嘘はいわないな。コウノトリが…なんて言っても感のいい子なら騙されていると気付くだろうから、嘘はいけない。もっとも橋の下で拾われたと信じていた子供も中にはいたがね。

なんだろう君
だからどう答えるんですか!(その橋の下で拾われたのは匝さんじゃないんですか?)


そりゃ君、「頭から生まれる」のさ。

なんだろう君
は?頭からですか??


そうだよ。自分が生まれる時を思い出してごらんよ。頭から生まれてきたろ。

なんだろう君
そんな古いこと覚えてませんし、そもそも覚えているもんじゃないでしょう。
たしかに“頭から”生まれますが、この場合の“どこから”は違うんじゃないですか?
お母さんのおなかが膨らんで、おなかに赤ちゃんがいることは知っているんですから、お母さんのおなかからどうやって生まれるのか、ということですよ。


わかっているよ。そんなにおこらなくてもいいじゃないか。
オオカミと七匹の子ヤギのように、おなかをハサミで切って…

なんだろう君
それじゃ、嘘になっちゃうじゃありませんか。


いやいや、帝王切開ってことで。

なんだろう君
だめです。


むむむ。じゃ、赤ちゃんが生まれそうになると、赤ちゃんが通る道ができてオマタから、ポンと出てくる。

なんだろう君
微妙ですね。


そこまでいうのなら、本当のことをいえばいいさ。何も隠し立てすることはない。あと10年もしないうちに真実はわかるんだし。
性教育は早いうちがいいらしいよ。北欧では子づくりの段階から父と母共同で教えているらしいじゃないか。

なんだろう君
恥じらいがあるんです。


そもそも結婚もしていないし、子供も産んだことがないんだから「わかりません」でいいじゃないか。めんどうくさい。

なんだろう君
あっ、投げましたね。


蒸し暑いんだから、暑苦しい話はやめておくれ。

なんだろう君
ところで新たな謎ができました。


今度は何かね?天国はどこにあるんですか?とか、神様はいるんですか?じゃないだろうね。

なんだろう君
いえ、さっきちらっとでた「カマトト」って何ですか?昭和の言葉なんですかね。


君は昭和の人じゃないのかい。

なんだろう君
オカマのお父さん?


いやはや、我が国の教育はどうなっているのか…って、習わないか。
“カマトト”とは江戸時代の遊女が言った質問の略だよ。
「蒲鉾はおととからできているのかえ?」とか言ったんじゃないかな。

なんだろう君
むー


知っているのに、子供のように無知を装っているのさ。まさに子供がどこから生まれるか知っているのに知らない振りをしている、なんだろう君そのもの。

なんだろう君
すみません。“おとと”ってなんですか?




なんだろう君
なんでそんな頭の弱い子に同情するような顔でみるんですか?知らないことを聞くことは、はずかしいことじゃないんだ。


魚のことだよ。もう少しいうと、赤ちゃん言葉でいう魚のこと。犬がワンワン、ネコがニャンニャン、車がブーブー。そして魚が、トトだ。
お魚だから、おトトとなる。

なんだろう君
疑問なんですが、例では音の繰り返しですが、昔は魚は「トト」と鳴いていたんですかね。


そんなバカなことはなかろう。おそらく、池の鯉とかにエサをやるとき「トートー」とか言っていたのがはじまりかもね。詳しくは知らないが、全国的にトトは魚のことをいうらしいのだ。

なんだろう君
うーん、正直、はっきりしないですね。


世の中、すべてに答えがあるわけじゃないんだよ。君は知っているかい?古来から“魚”は“さかな”とは読まないんだ。

なんだろう君
えええ!だって学校では“さかな”と習いましたよ。また騙す気ですね。


はっはっは…。寂しいね。そんな風に思っていたのかい。
“さかな”は“酒菜”のことなんだよ。酒の肴の“肴”と同じで料理したものさ。本来は“魚”は“うお”と訓じるんだ。

なんだろう君
えっと、食べ物の時は“さかな”で、生きている時は“うお”ってことですか?


そうだよ。だから“さかな屋”さんでは食べるものが並べられ、淡水魚とか熱帯魚を売っている店は“さかな屋”とはいわない。
魚の名前も○○ウオという名前はあるが、○○サカナというのはないじゃないか。

なんだろう君
まるで、泳いでいる時は“サケ”で、食べ物は“シャケ”っていうのに似てますね。


常々疑問に思っているのだが、その“サケ・シャケ”説は本当なのかね?

なんだろう君
いや、ボクもわかりません。ところで質問なんですが“川魚(かわざかな)”は生きていないんですね?


あっ、えー、そう?

なんだろう君
ふっふっふ。ま、それはさておき、何で“うお”から“さかな”になったんですか?


うむ。古来より魚は“うお(もっと古くは“いを”)”と呼んでいた。魚市場も“うおいちば”だが、だんだんと“さかな”という言葉も使われるようになった。
しかし戦後の当用漢字音訓表で“魚”は音では“ギョ”、訓では“うお”と読むことにし、“さかな”とは訓じないことになったのだ。

なんだろう君
はい。


しかし昭和48年の当用漢字音訓表で“魚”は“さかな”と訓じることができるようになった。それまでも“魚屋”は“さかな屋”と読んでいたが、教育現場とか公文書では正式には書けなかったんだね。
それじゃ不便だろうと改訂されたわけさ。

なんだろう君
日本語を統制しようとした政府が折れたんですね。日本語の自由化、万歳。


はてさて、なんだろうね。日本語は難しいという一例をだそう。
君は「早い電車」という文を読んでどう思うかね?ま、じっくり一人で考えてくれたまえ。
暑苦しいからできれば、できれば自分の家で考えていただけるとありがたい。

なんだろう君
えっと、今回は落ちはないんですか?って、手で追い払うことないでしょう。ぶんすか。


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