スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

海の底 

海の底 (角川文庫)
海の底 (角川文庫)
おすすめ平均
starsうるとらQ 的看板の 恋愛小説?
stars読後感は超最高です
stars災害の中に見る人間のすばらしさ
starsエンターテイメント!
starsぐいぐいと話の中に引っ張り込まれたこの面白さ。圧倒的です

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「…まあ。いろいろフクザツなお子だったんだよ」

ページをめくるごとにどんどん物語に引きこまれ、増える登場人物に縦横に張り巡らされる伏線もすべて回収され読了後のサッパリ感がここちよい。もっともどのようなテーマか?と、なると多くの要素が含まれていて一言で説明ができないのがもどかしい。

物語のきっかけは、横須賀の米軍基地祭が行われているところで湾内から大量の巨大ザリガニが上陸し、人々を襲い獲物として食べ始めるところから始まる。
逃げ惑う入場客から離れてしまい追い詰められた子供たちを、同じく避難中の自衛隊潜水艦の乗員に助けられる。しかし基地の外への道が巨大ザリガニにふさがれたために潜水艦に戻って逃げ込むことになった。子どもたちを潜水艦に避難させている最中に艦長が巨大ザリガニの餌食に。眼の前で艦長が食われていく姿をみた乗員2名と小学生から高校生までの子ども13名の不自由な共同避難生活が始まる。

地上では県警の機動隊が出動。拳銃では歯が立たず、集団で楯による肉弾戦を行いながらの救助活動。落ち着いたところで警察庁に指揮権が移動するが、本部長は県警警備課長と共に警察力の範囲を超えた異常事態を自衛隊に任すために策を講じていく。自衛隊は政府の及び腰によって出動できないまま、潜水艦を救助できず、また怪我人が増える警察を援護することもなく見ているしかなかった。

マスコミの無責任なコメントや特ダネ目当ての取材なども行われる。

名もない研究所の研究者のレポートが本部長と警備課長の目にとまり、巨大ザリガニの生態が少しずつ明らかになる。そして異常事態発生から6日目にして自衛隊が出動し事態は終息する。

大きな流れとしたら、潜水艦に残された乗員と子どもたちの生活だ。小学生はともかく中学生と高校生の子どもから大人への心の成長が見所だろう。そういう意味では潜水艦はサナギのような場所だったのかも知れない。粗暴だが繊細な自衛官と人あたりは優しいがライトな感じの自衛官。この2名は性格も極端に違うが“護る”という意識は共通して心にある。ただ上官からみても世間(悪行?)からみてもまだ大きな子どもと思える。もっとも艦長だけは見方が違ったようだが。

思春期の難しい年頃に子ども同士の複雑な関係、そして家族との関わりが歪んだ性格となり、2名の乗員、子供同士の葛藤に繋がる。

特に我ままで粗暴な中学生がマスコミに救出を依頼し、2名の自衛官をかく乱して脱出を謀るところはみじめなまでのみどころだった。今まで仲間としてつるんでいた後輩は直前で逃げ、友人だと思っていた幼馴染が止めるのを蹴り飛ばし、セイルのハッチを開けマスコミの救出ヘリを見上げる。ヘリの音によってセイルをよじ登る巨大ザリガニ。猟友会のメンバーが発砲するが弾ははじかれるばかりで、むしろ脱出を謀った中学生があぶない。ザリガニがセイルに上り詰めるところで助けにきた自衛官により救出、時間がないため潜水艦の中へ蹴落とした。どんなイヤな奴でも“護る”。艦長が犠牲になってまで救出したのだから、その艦で死ぬ権利はない。
これらの落とし前は子どもなりにつけたのだが、潜水艦にいた人間以外には意味がわからなかっただろう。それでいいのだが。

いろんな意味でみどころが多い。エンターテイメントであり、人間ドラマであり、恋愛あり、SFであり…。
あんまり書いてしまうとネタばれになってしまいますからな。

現実に似た異常事態とすればやはり災害だろうか。潜水艦を避難所と考えれば同じような状況だ。水は自由に使えない、最低限の世話はしてくれるが自分もなんでもいいからできること、人の助けになるようなことをしなければ人間関係は保てない。そしてすぐには救出にきてくれない。

災害の外にいる人たちはいつも勝手なことを言い、現場はただ黙々と任務を遂行する。そういう意味で災害が巨大ザリガニになっているだけで、非常時では起こりえる内容でもある。また特定の英雄はいない。現場の全員が自分の職の範囲でできる最大限のことを考え行った。無駄とわかってもその人の“最後の記憶”のために機動隊隊員が救出に向かうシーンは印象的だったな。災害時にどう考えても助からないであろう人から救いを求められ、その人の“最後の記憶”のために手を差し伸べられるだろうか。眼をみちゃったら…

最後、この出来事から5年を費やして登場人物のすべてが落ちつくところに落ち着き、読んでいる方もホッとすることができた。

「私を忘れてください」 そういう意味だったのか。

本書はcocoさんのブログで知りました。

2009-9-5 16:20
作者の有川浩は女性だったんですねぇ。物語から納得する部分と女性がミリタリーを…という意外に思う部分と混在。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://eniguma.blog85.fc2.com/tb.php/1823-f78aaa3c

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。