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先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学 

先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学
先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学
おすすめ平均
stars内容ももちろんですが、タイトルが秀逸!
stars驚きの発見がてんこ盛り!
stars1日でも生物と交流しないと体調が悪くなる人へ
stars脳のクセが分かります
stars漫画化希望

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タイトルにやられたーって感じです。こんなタイトルを見かけてたら、つい手に取りたくなってしまうではありませんか。パラパラとページをめくるとレジへ直行。

この本は鳥取環境大学の教授の動物とのドタバタな日常を書き綴ったもので、難しいことは何もなく、ただひたすら動物への愛情と人間とのトラブルが書かれている。

本書は10の短編と1つのおまけ(ヤギ部物語)が収録されているが、短編には“脳”に関する副題が記載されている。「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます !」の副題は「人の“脳のクセ”とコウモリ事件」という感じだ。人間が動物に見せる親しみや見逃しがちな自然からのメッセージ、因果関係を明らかにしたいという欲求について、簡単に読める中にも人間に対する考察も書かれている。軽く読むことも深く読むこともできる。動物をたまに擬人化してしまうところも親しみを持って読めるところだろう。

「無人島に一人ぼっちで暮らす野生の雌ジカ」の章は、なぜ雌ジカがその島(湖山池の島)にいるのか、また島の植生と鹿の関係など興味深い考察がなされていた。島の半分が常緑照葉樹でもう半分は落葉樹になっている。鳥取のあたりでは植生遷移の最終段階(極相でいいと思う)は常緑照葉樹の森となるようだが、なぜか半分だけが最終段階に至っていない。それが一頭の雌ジカの影響というのだ。地形的な問題で雌ジカの行動に制約があるため、雌ジカのこない島半分では森の遷移が進む。雌ジカの行動範囲の森は下草が食べられたり、踏み固められたりすることで落葉樹の段階に抑制されているそうだ。

落葉樹の森は豊かな腐葉土と日当たりのよさで多くの植物が生育する。極相に至るとメインとなる植物に覆われるとされるが、動物との関係で植物の植生段階を結果的に動物たちの住みやすい状態に維持することができるということらしい。森の遷移が進めば落葉樹は廃れ常緑樹の勢力が増えることになるため、雌ジカに食べられることで自分たちの生存を図っているようにもみえる。持ちつ持たれつ、という自然のバランスならではだろう。

人間と自然のバランスも里山という形でなされていた。人間は森を手入れし、森からは薪や水、山菜を得ることができた。森の植物たちと人間の共生ができていたのだろう。雌ジカのように人間がある程度の必要な手を入れることで、豊かな自然が形成されていたわけだ。

それが今では山を手入れすることなく森を荒廃させ、人間の生活圏に近い部分では都市化を推し進める。人間と自然とのうまいバランスは崩れ、人間が一方的に森から収奪しているようにもみえる。うまく自然と共存することこそ、人間にとってもよいことなのだと、この話から感じたことだ。

もっとも先生はそのような考えを持っているかどうかはわからない。一緒に島にいった学生さんとはそれぞれ雌ジカに対する名前が違い、学生さんが命名した名前に目まいを覚えるという程度に楽しい方である。難しいことを難しく考えず、読者の思いにまかせていただけるようで、読んでいて楽だった。

ときおり登場する太文字の一文は、読み手に印象を与えるのに効果的なんだろうな。ここがまたツボでおもしろいのだ。動物好きなら一度は読んでみてほしい一冊である。

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