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バス水没事故 幸せをくれた10時間(修正版) 

バス水没事故 幸せをくれた10時間
バス水没事故 幸せをくれた10時間

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当時の報道を思い出すと、洪水で町中が水没している中にバスの屋根の上で数十人が救助を待つシーンだったが、体験談を読むと深夜には屋根で避難する人々の腰にまで水が上げていたそうである。(先日のブログ記事:台風23号バス水没事故から5年

この本はたまたま本屋で見かけたものだ。書名よりもバスの上で救助を待つ表紙の写真が目に止まった。「そういえばそんな事故があったっけ」と。

これは2004年10月の季節はずれの台風23号による大水害のひとつ。
年金旅行に参加した36人と運転手1人の37人が、芦原温泉からの帰りに由良川大川橋を渡ったところ(北近畿タンゴ鉄道四所駅付近)で冠水のためバスが立ち往生。その後、由良川が出水し洪水に巻き込まれた。時系列に追うと、

21時頃、バス車内に水が流入。大川橋の水位は午前中の2メートルから6メートルとなり出水。
     バス車内でカーテンをロープ代わりにし屋根への避難を開始。
     アメダス舞鶴 気温16.9℃/雨量18ミリ/北の風、平均風速18m
22時頃、著者屋根へ脱出。既にバスの窓が完全に水没。水位はどんどん上がる。
     アメダス舞鶴 気温16.8℃/雨量16.5ミリ/北の風、平均風速20m
22時20分頃、バス水没。乗員乗客37名全員が屋根へ避難。
 この間、警察、消防、マスコミ、家族などへ救助を求めるも、次々に携帯の電池がなくなる。
翌0時過ぎ、乗客のひとりの携帯に自衛隊が救出のため23時10分に出動したとの連絡。
     アメダス舞鶴 気温17.9℃/雨量1ミリ/北の風、平均風速16m
2時10分、大川橋水位8メートルを超える。バスの屋根に避難する乗員乗客の腰まで水没。
     アメダス舞鶴 気温17.5℃/雨量2ミリ/北の風、平均風速14.8m
未明、バスが流れ始める。乗客の一人が救助を求めに泳ぎだすが断念し近くの街路樹に避難。
 この頃から低体温症に苦しめられ始める。
3時頃、舞鶴市の防災放送で3時半頃がピークであることが放送されるが、乗員乗客には届かず。
 大川橋の水位8メートルを下回る。最後の携帯電話に、自衛隊は荒天で救出に向かえず夜明けに向かうという電話。
     アメダス舞鶴 気温17.3℃/雨量1.5ミリ/北の風、平均風速14m
6時頃、空が明るくなる。水が引きバスの屋根が現れる。水位は7メートル半程度。
 自衛隊のヘリコプターにより発見。午前8時までに救出される。バスの乗員乗客含め67人が救出された。

ちなみに21日舞鶴の最大風速は25m/sで、瞬間最大風速に至っては51.9m/sだった。

高齢者が大多数の乗客が、暴風の中ずぶぬれで寒さに震え、かつ半身を泥水に水没した状態で10時間近くも耐えていたことは想像を絶することだ。ましてほとんどパニックにならず、みんなで励ましあい支えあった精神力の強さには驚嘆する。最初の携帯電話が通じるうちは各自助けを求めるが、電池切れと暴風雨と出水の凄さに救助が来ることは半ば諦めていたのだと思う。むしろ同じ境遇のみんなの存在が支えとなったのだろう。帰宅を急いだ運転手に罪はないと思うが、本人はかなり気落ちしていたようだ。それをみた乗客は励ましていたようだ。

また町中が停電していたこともあり夜間は真っ暗となったが、乗客同士の励ましの声や歌声は、同じように付近に取り残されたトラックの屋根の上の運転手などの励ましにもなった。逆に家の2階に避難していた人たちにとっては、危険を顧みず救助に向かおうとしたり、「助けて」の声に胸を痛め眠れなかったとのこと。

自分がバスの乗客であっても、目の前に居ながら手を差し伸べることのできない立場であっても、苦しいことだろうと思う。想像以上のことができないが、実際にそのような立場となったら自分は冷静でいられるだろうか…。読み進めるほどに、暗闇で半身を水につかりながら暴風雨にさらされ、あと数十センチ水が上がったら溺れる…、いや流木が流れてきてバスが押し倒されたら…この恐怖。

“アメリカの大統領はいかなる厳しい状況下でもジョークの一つも言わなくてはならない、という話を聞いたことがありますが、おかしな話ですが、実際のところ切羽詰まったまさに生死の境にあるときにこそ、ジョークというものがいかに効力を持つものかということを、この年になって初めて実感したように思います”

著者がこう書いているが、緊張の連続の時に、ふっと気持ちが楽になるジョークっていうものが連帯感を生み、気合新たに頑張れるのではないだろうか。「がんばる」というのも共に力を合わせている人同士で掛け合う言葉だと聞いたこともある。同じ境遇ではない、安全なところから言われるより何倍も価値があるのだ。

あと著者は看護師でもあるが、決して否定の言葉を口にしないそうだ。痛かったら「痛くない」ではなく、「痛いね」と応じることがお互い大切なことなのだそうだ。

災害の体験談は読んでおくと万一の時にきっと役に立つと思う。
この事故は避けられた場面がいくつかあったと考えるが、最悪の場面にどう立ち向かうかを知ることのできる貴重な一冊。

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