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LED照明、宇宙へ 

国際宇宙ステーション(ISS)の照明として使われている蛍光灯は、経年変化で真空管内部の真空度が落ちて点灯しないものでていると昨年に話題となった。これは1997年(!)に製造された米国製で、多重飛散防止を施された高価な蛍光灯である。2008年に打ち上げられた日本のモジュール“きぼう”にもこの蛍光灯が使われている。つまり10年前に購入した蛍光灯を使っているのだ。

なぜこんな古い蛍光灯を使っているかというと、ISSの建造開始は1998年。計画の遅れと2003年のコロンビア分解事故の影響でISSの建設は遅れに遅れ、先に準備されていた蛍光灯は保管されたままだったのではなかろうか。
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[提供:NASA] ISS“きぼう”内部 鯉のぼりの向こうに蛍光灯

ISSで使われる蛍光灯は先にも述べた通り多重飛散防止が施されている。これは無重力下で破損し、ガラスの小片や内部の水銀がISS内部に飛散して宇宙飛行士にケガなどをさせないためで、蛍光灯は専用のカバーなどで覆われている。またISSの電力は直流120Vであり、蛍光灯といっても日常目にするようなものではなく、ISSの蛍光灯とはユニット全体のことを言っているのだと思われる。そのため蛍光灯単体を宇宙で交換することはできないんじゃないか(破損の恐れもあるし)。

この障害以前の2005年。パナソニック電工(当時は松下電工)がJAXAの“宇宙オープンラボ”という制度で“宇宙船内用照明装置”としてLED照明を提案した。この照明はJAXAの宇宙ステーション補給機(HTV)で、次の2号機から設置される予定。

この辺の開発の話はJAXAでも紹介されている。

JAXA:宇宙オープンラボインタビュー 第11回
http://aerospacebiz.jaxa.jp/openlab/interview/11/index.html

パナソニック電工は民生品の量産技術と開発ノウハウで安価な製品を供給できるのではないかと考えたそうだ。ところが民生品とはまったく違う世界が待っていた。

高酸素濃度での燃焼試験=地上ではありえない高酸素濃度。難燃性のアクリルが炎を出して燃えた。
過酷な振動試験=地上ではトラックや貨車輸送のための振動試験は行うが、13Gもの加速度はかけたことがない。
そのほか、耐宇宙放射線試験や有害ガスが発生しないことの確認などなど。品質基準は4畳半の部屋ぎっしりで読み込むのに労力がいったそうである。わかるなぁ。一部屋いっぱいの品質マニュアルもたら卒倒だよ。

この辺、開発史などが好きな方はもっと読みたくなるところだ。
パナソニック電工は最後にいい指摘をしている。現在使われている蛍光灯がすべてLED照明に置き換わることはない。LEDは長寿命だがスポット照明に適していて蛍光灯にように全体を照らすことには不向きだ、というのだ。

白熱灯が電球型LEDに変わり始めているが、なかなか蛍光灯型のLED照明が普及しない理由のひとつかも知れません。(白熱灯と違って蛍光灯のユニットにそのまま入れ替えられるLED照明灯がユニットの制約を受けていることもある)

ユニットを最適化したLED照明はIDECがつくり自社ビル全部をLED照明にしてしまったけれど、この辺は会社の思想の違いかな。

パナソニック電工LED照明装置仕様
名称:PSL=Permanent Solid-state Lighting
サイズ:673mm×167.5mm
LED:白色タイプの高出力LED 20灯
器具光束:約400ルーメン
消費電力:29W
電圧:DC120V
万一に備え電源系統は2系統に分け、LED10灯ずつ点灯させている。

パナソニック電工プレスリリース
2008年11月5日
世界初 JAXAが開発中の宇宙ステーション用補給機へLED照明の採用が決定
壊れにくく、長寿命、高品質のLED照明技術が評価されました
http://panasonic-denko.co.jp/corp/news/0811/0811-1.htm

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