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宇宙からの口笛 

宇宙から口笛が聞こえるのです。ラジオを通して…。
その口笛を初めて聞いたのは1919年(?)。第一次大戦下で連合軍の電話を盗聴していたドイツのバルクハウゼン教授がノイズに交じって「ピュー、ピュー」という口笛のような音が聞こえてきた。これはいったいなんだ?ということで大戦後に研究されることとなった。

地球には大気があり、その上には電離層という一部の電波を反射する層がある。この電離層のおかげで短波放送が遠くまで伝わったりする。さらに高層にはバン・アレン帯という放射線が飛び交う層がある。バン・アレン帯と重なるように巨大な磁気圏が存在する。この磁気圏は地球の磁場と太陽風との強さが釣り合ったところが境となっているが、太陽のない方に長く伸びている。
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「ピュー、ピュー」という音は“ホイスラ”と呼ばれ“口笛を吹く者”の意味だ。
原因は雷なのだ。雷雲が近付いている時、ラジオを聴いていると「バリッ」とか「ガリッ」などのノイズが聞こえてくる。これは落雷時に雷から電波が発せられるからだ。そして雷電波(空電)は広い周波数の電波を含んでいるので、一部のラジオ局だけでなく多くのラジオ局に影響を与える。

たとえば、ピアノ。ピアノの鍵盤が電波の周波数だとしよう。NHKが“ド”であり、TBSか“ソ”の音の部分だ。つまり○○kHzとかいう周波数を鍵盤に当てはめたわけだ。

空電はピアノの鍵盤をすべて同時に押したことに等しい。特に低音(低い周波数)は強く、高音(高い周波数)は弱いということはあるが。ここまではいいかな?

この雷を原因とする空電は、落雷した場所に近ければ先の「バリッ」というような音が聞こえる。
これが数百キロから数千キロ離れると様子が変わってくる。地球は丸いこともありまっすぐ飛ぶ電波は、遠くまで届かなくなる。しかし電離層があるため一部の周波数の電波は電離層で反射し、次に大地に反射して…そうやって繰り返し遠くへと伝わっていく。

ピアノで言うと、高い音(周波数)は電離層に反射されずに宇宙へと飛んでいき、ある音より低い音(周波数)は電離層と大地とに反射を繰り返し遠くまで届く。延々と反射を繰り返していくものを“シューマン共振”(音に例えると共鳴)といいますがこれは横へ置いておきます。

低い音(周波数)の方が高い音(周波数)よりも遠くへ届くため、空電ノイズの成分は高音(周波数)が消えていく。あまりに低い音(周波数)は電離層と大地との間に入りきらずに消えていく。落雷地点からある程度離れると音(電波の周波数)の成分が大きく変わる。

このように電離層で反射して伝わってきた空電ノイズは「ガリッ」とか「バリッ」とかいわずに「ピュンピュン」という音に聞こえる(10kHzの可聴域なので受信機にヘッドホンつなげは直接聞ける)。これをトゥイーク(Tweeks)という。
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さて、我らがホイスラ(Whistlers)ですが、これは空電がまっすぐ空へ飛んで行っていってしまったもの。しかし電離層の上の磁気圏で地球の磁場に捕らえられてしまい、地球へと引き戻される。このため南半球の落雷空電が弧を描きながら北半球へと伝わっていくことになるのです。
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ではなぜ「ガリッ」とかいう空電の音が、「ピュー」という口笛に聞こえるか。
先にも書いたとおり雷の電波には多くの成分が含まれている。ピアノでいえば全ての鍵盤を鳴らしたように。
これが大気圏を飛び出し磁気圏のプラズマの影響も受け、成分が分かれていく。ピアノなら高音が速く、低音が遅く伝わる。空電の大きな電波周波数の波形はバラバラにされる。

地上でアンテナを立て無線機に耳を傾けていると、たとえば高音の“シ”の音から“ラ、ソ、ファ、ミ、レ、ド”という感じで高音から低音へと音が聞こえてくる。これが口笛のように聞こえるのだ。

ホイスラの音の観測は、温暖化を考える上で一つの観測方法と考えられている。温暖化が進むと熱帯での落雷の発生数が増える。当然ながらホイスラの観測数も増えるため、長い期間観測することで温暖化の影響を知ることができるというもの。

また地球磁場の影響を受けるため年間の地震数にホイスラ発生数が比例したり、巨大地震の前にはホイスラが多くなる傾向も報告されている。ホイスラは地球の胎動を知る手がかりになるのかもしれません。

ホイスラなどはNASAのサイトで聞くことができます。
http://spaceweather.com/glossary/inspire.html
鳥がたくさん鳴いているような“コーラス”が聞けないのが残念。

理解不足で中途半端になりましたが、こんなこともあるんだと知っていただければ幸いです。

参考

宇宙からの交響楽―超高層プラズマ波動 (新コロナシリーズ)
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