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宇宙研特別公開2010 IES兄編 

7月31日、帰還した「はやぶさ」のカプセルが公開されたJAXA相模原キャンパス特別公開にいってきた。もっともカプセルの見学待ち2時間とか尋常でないので、そのほかにも多くの展示が行われているのでそちらメインでの見学。
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(JAXA提供:クリックすると大きくなります)

イカロスの実物大試験モデルを見学に第4会場に向かっていたら、第3会場で長蛇の列。
聞いてみると「はやぶさ」搭載のイオンエンジンの試験を見学できるという。せめてこちらは覗いてみることに。

ちなみにイオンエンジンの向かいには宇宙農業。一見、宇宙とは関係のなさそうな養蚕をしていた。これまたちょっと宇宙とはかけ離れたおじさんが、火星クッキーなる蚕のサナギ入りクッキーを配布中。

「これを食えないと火星にいけないよ」とか。

宇宙での自給自足は大変だ。
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実験室までの間に張り紙による解説を読む。会場内では展示物に合わせてミニミニ図鑑というのが配布されていた。

『電気推進ロケットの研究』(pdf)

ようやく入口に差し掛かると一見工場のようだ。冷房が効いていて涼しい。長蛇の列の奥には目指すイオンエンジンがある。
この時、イオンエンジンは二つ動いていた。片方は後継機用のイオンエンジンなのだが、並んでいた時間は長いのだが、壁の解説を読むには短く、係の方の説明も注意中心で説明はときどきなので注意していないと聞きそびれるって、聞きそびれました。
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暗幕に頭を突っ込んでチャンバー内を見る。かすかに青白く光るイオンエンジン。こんなか弱い光で深宇宙を駆け抜けたんですなぁ。

と、暗幕から頭出すと幕を掴む係の肩に「はやぶさ」と「IES兄」の名札が!
「はやぶさ」ツイートの担当のひとりIES兄こと細田聡史さんではありませんか!
って、並んでいる間から知ってはいたんですけどね。だって見学者が握手したり、お話したり、一緒に写真を撮ったりしているのを見ていたので。

そんなわけで匝も一緒に写真に撮ってもらいました(^^)
(一応、肖像権とやらがあるのでアップしませんけど。匝は構わないんですがね)
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イオンエンジンが動いているところを見た後、見学者は次の展示に行ってしまうのが残念です。かたわらにイオンエンジンがおかれていました。

イオンエンジンの原理については今度調べてアップしようと考えていますが、とりあえず簡単に。

上の写真が中身なのですが、丸いのが燃料(といっても燃えるわけではない。燃料も含め推進剤というのが正しい)のキセノンが入ったタンク。手前の黒いのは制御装置。中央、グレーの薄い機械はマイクロ波装置。右にはイオンエンジンです。
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イオンエンジンの原理については今度調べてアップしようと考えていますが、とりあえず簡単に。

上の写真が中身なのですが、丸いのが燃料(といっても燃えるわけではない。燃料も含め推進剤というのが正しい)のキセノンが入ったタンク。手前の黒いのは制御装置。中央、グレーの薄い機械はマイクロ波装置。右にはイオンエンジンです。

さてイオンエンジンは丸くメッシュのようになったところからキセノンの陽イオンが放出される。丸いメッシュのすぐ横にあるのは中和器で、ここから電子を放出して中和させる。それでなんで推進できるのかというと、まず次をイメージしてほしい。

池にボートを浮かべボールを後ろに投げると作用・反作用の原理でボートは少しだけ前に進む。ボールは重ければ重いほどよく、さらに力いっぱい投げるほどボートは進む。

これと同じでなんでもいいから後ろに放出すれば作用・反作用の原理で推進できる。空気抵抗もない宇宙ならなおのことだ。放出する方法で火薬とか使う手もあるが燃料をたくさん積まなければならないし、丈夫でなければならない。ガスを直接吹くにしてもすぐに空になってしまう。そこで原子とか分子とかを連続して投げ続ければ、小さい力だけれどだんだん速くなるではないかというアイデアが生まれた。

原子や分子を投げる方法は静電気(電場をかける)を使う。太陽電池から発電されるので電気の心配はない。静電気を使うには原子などをイオン化する必要がある。キセノンをイオン化するとマイナスの電荷を持った電子とプラスの電荷を持ったキセノン原子に分かれる。重い方が作用・反作用の効果が大きいので電子よりも重たい陽イオン、プラスの電荷をもったキセノン原子を勢いよく放出する。

中和器は放出された陽イオンに陰イオン(電子)を与えて中和させる役割だ。これは陽イオンだけ放出するとマイナスの電子が貯まってしまい、探査機本体がマイナスに帯電してしまう。するとせっかく放出した陽イオンがうまく飛ばされなかったり、放出した陽イオンが探査機を電気の力でひっぱることで推進しなくなってしまう。そういうのを防止しているわけだ。

イオンエンジン自体はアメリカなどでも使われているのだが、構造が簡単な電極式というのを使っている。欠点は電極がどんどんなくなってしまうため長時間の運転はできないが、我が国のイオンエンジンはマイクロ波放電式で長時間運転を可能にしたことが評価されているのだ。

最後にIES兄のご紹介(「はやぶさ」ツイートから


2010/04/16 12:40 JST: 三人目の書き手です。
Category: Misc_jp Posted by: HayabusaLive
はじめまして。はやぶさ特設サイトブログ担当スタッフの一人、IES兄です。「IES」とはIon Engine System(イオンエンジンシステム)の略語です。「兄」は「お兄さん(※1)」の略なので、IES兄=イオンエンジンのお兄さん、と読み替えて頂けると嬉しいです。
「はやぶさ」では名前の通りイオンエンジンのオペレーションを担当しています。
「はやぶさ」の宇宙動力航行の主推進機として搭載された「ミュー10」イオンエンジンですが、姿勢制御や精密誘導などの役割も担いつつ、その舵を着実に地球に向けてきり続けており、「ミュー10」イオンエンジンのロバストネス(※2)と信頼性の高さを世界に示すことになりました。
というわけで、このエンジンなどの宇宙機の機器にスポットを当てて、わかりやすく、時には専門的に紹介していきたいと思います。宜しくお願いします。

(IES兄)

※注1:妹が12~19人いるわけではありません。
※注2:頑強性とか堅牢性の意味です。




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