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宇宙研特別公開2010 マジックテープとイカロス編 

今回の特別公開で注目していたのはソーラーセイル宇宙機イカロスだ。
なんたって実物大試験モデルが展示しているというのだ。
第3会場のイオンエンジンに捕まったものの、目的の第4会場へ急ぐ。
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(JAXA提供:クリックすると大きくなります)

入口から入るとすぐに真空実験と耐熱フィルムの展示。2度目の時に耐熱フィルムをじっくり見学した。そこでどこぞの奥さんが...
「あら、マジックテープで張り付けているんですかぁ」とのコメント。
そこで匝は思いだした。先日のマジックテープネタ
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「あのぉ、マジックテープ自体はどうやってフィルムにくっつけているんですか?両面テープだと接着剤なので劣化してしまいますし...」
「それは縫ってあるんですよ、ほら」
そこにはまさに糸で縫いつけたマジックテープが!
さらに聞くと人間がミシンで縫っているそうだ。
「けっこう、アナログな部分が多いんですよ」
だそうである。
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奥の壁際右は赤外線天文衛星「あかり」のある宇宙環境試験室。
左へ行くとイカロス実物大試験モデルが展示されているフロア。
そして早速イカロスの部屋へ踏み込んでみた...あれ?小さい。
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イカロスのセイルのうち1/4が展示されていて、どうも残りは第1会場にあるらしい。
上の図に描いてみました。ここらへんがボーンと展示されていたのです。
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薄膜太陽電池や姿勢制御デバイス(簡単に言うと液晶)へのケーブルなどもリアルにみることができた。というよりこれは今宇宙にいるイカロスと同じもの。予備品というか試験品というか、複数作ったもののひとつなのだそうです。

イカロスは太陽の光(太陽風ではない)で航行する実験機なのだが、ついでにということでいろんなセンサが取り付けられている。

そのひとつにダストカウンター「アラジン(ALDN)」が張り付けられている。これは太陽系内の宇宙のチリ(宇宙塵)の分布を調べるためのもの。一見するとアルミホイルのようなシート。圧電素子の仲間で塵がアラジンにぶつかると衝撃で電気が発生するので、その回数や電気の強さでいろいろ調べられるのだろう。

アラジンはイカロスの裏側、太陽の当たらない金色の部分に貼りつけられている。
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さて建物の裏手に回ると電波暗室があるのですが、そこにもイカロス君が。
こちらはアンテナに関する説明。ツイッターのイカロス君が「なんとかの山」と言っていたのは、この矢印の示すアンテナのことだ。

このアンテナは低利得アンテナ(LGA)というもの。イカロスにはこのLGAが裏と表にひとつずつと中利得アンテナ(MGA)が表(太陽面)にひとつの3つで地球と交信している。

この写真はLGAをどの位置に取り付けると効率的か電波暗室で試験するための1/2縮尺モデル。
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イカロスの話はこの辺にして他の展示物も見てみよう。
写真はイカロス実物大モデルの奥にあった振動試験装置。ロケット打ち上げ時には大きな振動が発生するが、この振動が衛星などの固有振動数と合ってしまうと壊れてしまう恐れがあるので実際に揺らせてみる装置。このほかイカロスなど衛星は回転することが多いので重心位置を確認するための装置もあるそうだ。

『機械環境試験室』(pdf)

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こちらは6月28日、金星探査機「あかつき」の軌道修正で世界で初めて軌道上で使用されたセラミックスラスタ。スラスタとは軌道修正用の推進装置。
燃料と酸化剤の二つを燃焼させる方式は効率がいいものの高熱のため、熱に耐えられる特殊な合金(ニオブ合金:耐熱1300℃)を使う必要があったそうだが、耐熱性の高いセラミックス(窒化ケイ素:耐熱1500℃)を使うことで改善される。また特殊合金自体が輸入品で入手性に難点があるため国産化を目指したのだそうだ。

金星探査機(PLANET-C)向け500Nセラミックスラスタの開発
(三菱重工技報Vol45-No4.2008)
http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/454/454046.pdf

他にも小型科学衛星シリーズなど興味深いものの紹介があったが、今回は割愛。
改めて取り上げてみたい。

『小型科学衛星1号機, 2号機』(pdf)

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こちらは電波無響室。ピラミッド型のモノたちはウレタンにカーボンが入った電波吸収材。この電波吸収材に電波があたるとピラミッドの谷に到達するまでにピラミッドの側面で熱に変わり、結果的に電波は吸収されて反射されない。

この部屋は衛星からの微弱な電波を探索し受信するなどのアンテナの試験などに使われるのだそうだ。今回は「はやぶさ」のカプセルからの電波を受信するためのアンテナ試験のデモが行われていた。

『電波無響室』(pdf)

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電波無響室の反対には磁気シールド室。奥にあるドームがそれだ。
衛星が持つ磁気をあらかじめ精密に測定することで惑星の磁気観測での影響を少なくすることができるのだそうだ。衛星自体の磁気を調べるには地球の磁気を除きたい。それをかなえてくれるのが磁気シールド室。

中に入ることはできなかったが、磁気シールド体験はできた。
方位磁針をゆっくりとシールドの中に入れる。中でゆっくりと振ると針はあらぬ方向を向いてしまうが、またゆっくりとシールドの外へ出していくとぴたりと北を指す。

ためしに...ということで女性が自前のiPhoneでコンパスのアプリを起動。やはりおかしくなる(電子的にやっているのだが、エラーにならずあらぬ方向を指すんだな)。
では俺も...ということでおじさんがコンパス付腕時計を入れる。やはりおかしくなる(こちらもあらぬ方向を向く)。

原理は地球の磁場が合金を伝わるために結果的に合金の内側の空間で磁気が感じないとのことだ。完全にふたをすると完璧と言われた。

あぁ、他にも衛星の姿勢制御とかネタがあったのだが、割愛。ミニミニ図鑑で楽しんでください。

『人工衛星の姿勢制御と試験設備』(pdf)





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