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サイエンスカフェ「バイオロギング~「ペンギン目線」の動物行動学」 

昨日は所用がいろいろあった中で最後は立川にある南極・北極科学館のサイエンスカフェへ。
テーマは「バイオロギング~「ペンギン目線」の動物行動学」であった。
120526_01.jpg
まずはじめにバイオロギングの説明。
これは以前ブログにも書いた

おさらいすると、動物を観察してその生態を知るにしても鳥類はすぐに逃げたりまた行動範囲が広く、とても観察しきれない。どこで何をしているのかわからないことだらけだ。観察者はひたすら見ることしかない。

南極、ペンギンについては数万羽単位でコロニーを形成するため地上での観察にはことかかなかったが、問題は水中での生態を観察できなかったことだった。そこで「追っかけて観察できないなら、動物の教えてもらおう」という発想の転換でセンサを動物に取り付けることを思いついた。

日本でも極地研究所が装置(データーロガー)の開発を行い、1980年代にアナログ式の深度記録計を作ったのをはじめ、今ではデジタル化で小型のロガーで動物の生態を研究しているのだそうだ。

データーロガーのセンサで、水中深度(圧力)、温度、加速度、水中速度、光量、音、向き(磁気)、脳波や心拍数、静止画・動画、位置(GPS)などがわかる。これらの記録から動物の行動を推測しようとしている。


アデリーペンギンの1回の潜水時間は5分。深いところで175mまで潜る。
エンペラーペンギンだと潜水時間は20分で、潜水も564m。
ミナミゾウアザラシでは潜水時間も120分、深さはなんと1926mだったそうだ。

ひとつのセンサでこれほどまでわかるなら、多くのセンサをつけるともっといろんなことがわかる。

深さ4mしか潜れないマユグロアホウドリが深海魚を幼鳥に与えているがどこで採ったのか。
この謎は取りつけたカメラの静止画にシャチを追いかけているところが写っていたことで、シャチが食べる深海魚のおこぼれを採っていることが推測された。

南極シグニー島にすむペンギンが減少している理由もカメラの画像と深度記録から推測できた。それは海氷が減ってペンギンの餌となるオキアミが浅いところから深いところに移動したため、ペンギンも深く潜る必要が生じそれによって効率が悪くなってしまった。海氷が減ったのは温暖化のため。オキアミが今まで浅いとこにいたのは海氷の底についた植物性プランクトンを食べていたからだ。バイオロギングの成果として温暖化の影響も考えることができる。

その他、オーストラリアのハシボソミズナギドリにGPSを取り付けたら、なんと北極まで飛んでいたことがわかった。これらはただ見るだけの観察ではわからなかったことだったろう。

そんな事例と共にバイオロギングの成果のお話もされた。
お話された高橋晃周さんはペンギンの研究者で、ペンギンの写真や動画を紹介いただいた。
バイオロギングのカメラは静止画で1万枚撮影できるそうだが、数秒ごとの画像をチェックするにもそのほとんどが何も写っていないものばかりだそうだ。そんな中で価値のある写真を見つけた時はやはりうれしいらしい。

匝が見ていて興味深くまたおもしろかったのはアデリーペンギンの石の取り合いの動画。
ほとんど恫喝とビンタの応酬だ(笑)。
「可愛げなsuicaのキャラクターなんですが、実のところ凶暴です」という解説で場内に笑い声が。

質問のところで匝はロガーを動物につける方法を聞いてみた。
ペンギンの場合、4、5枚の羽根にロガーをテープでくくりつけるのだそうだ。
それも程よく着脱できるような粘着性のあるドイツ製の水道用テープ(1500円くらい)で…
「イギリスの研究者が試してこれが一番よかったということで、世界の研究者が使っている」とのこと。

他の質問への回答で興味深かったのはバイオロギング技術の動物以外の使い方として…
1)水泳選手にロガーを取りつけてクロールの解析をし、有効な泳法を教えることに使った例
2)老人につけてその行動を記録し、バリアフリーが必要な場所やその方法研究に応用している例
などがあるそうである。ま、人間も動物だしね。

カフェの最後に行動生態学者の長谷川眞理子さんの言葉が紹介された。
要約(意訳)すると…
ミクロレベルの研究は顕微鏡をはじめ多くの機械が作られ詳しく研究されているのがうらやましい。
自分たち(人間)より大きなスケールについては、パソコンのモニタで一目でわかるようなものがない。
…というようなことだったかな。とても印象に残っている。リアルタイムに動物の行動や群れの動きがわかったらとてもおもしろいだろうし、動物の行動については新たな発見が多いかもしれない。これらの成果は人間と動物たちとの良好な関係をつくることができるのではと感じた。

これからのバイオロギングも注目です。


バイオロギングと明らかになった驚きの動物の行動については次の本がお勧め。
蔵書していますが読んでいて楽しかった。ちょっと文字の量が多いけれど、興味のあるところを先に読むのがいいでしょう。

バイオロギング―最新科学で解明する動物生態学 (WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ)バイオロギング―最新科学で解明する動物生態学 (WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ)
日本バイオロギング研究会

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今回お話しいただいた高橋晃周さんも書かれている本。
こちらはまだ読んでいませんが、ちょっと専門的かな。
バイオロギング-「ペンギン目線」の動物行動学- (極地研ライブラリー)バイオロギング-「ペンギン目線」の動物行動学- (極地研ライブラリー)
内藤靖彦 佐藤克文 高橋晃周 渡辺佑基

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