ロボットの天才
- 匝の本棚
- | トラックバック(0)
- | コメント(0)
| ロボットの天才 | |
![]() | ロボットクリエイタ-・高橋智隆 おすすめ平均 ![]() とても魅力的な筆者で、わくわくはできる本。しかし、本人の業績と本の出来、内容は別物。 天才って 自分のこと? ロボットざんまい カロッツェリア風ロボットデザインAmazonで詳しく見る by G-Tools |
数年前、といってもまだ20世紀末。ソニーの犬型ロボットアイボ(AIBO)に魅了された。定価は15万円程度で購入できない金額でもなく、さらに自律型ロボットという意味ではいよいよ家庭にロボットがやってくる時代になったのだと感動したものだ。
それがどうしたことか、約束された科学技術の21世紀。宇宙ステーションやリニアモーターカー、エアカーは実現されず。テレビ電話は20世紀末にはできたものの普及しなかった。2003年はアトム誕生の年だったが二度寝だ。結局はアイボ以降、自律型のロボットは家庭に入ってこない。
ロボットも一部のマニアや研究者にだけのものになりつつある昨今だが、書店でこの“ロボットの天才”を手にしてこの著者はちょっと違うと思った。
この本はロボットの本ではない。ロボットが家庭に入り込む、それも家事ロボットというだけでなく人間とコミュニケーションできる自律ロボットの世界を思い描く著者の本だ。彼のモノづくりの原点や立命館大学を卒業し1浪して京大へ進学(?)。その後、ロボット三昧の生活からベンチャーを起こして日本を代表するクリエイターとなるまでのことが自伝として書かれている。
この本を読むと感じるのは、彼は技術者でも開発者でもなく職人というべきところだろうか。図面を引かずイメージで外装を作り基板やモータなどはその中に入れ込んでいく。問題が発生すればその都度修正し、1体完成すればそれで終了なのだ。つまり一品モノの生産。
それでもメーカーが量産の話を持ってきたり、多くの人とプロジェクトに参加しだすと分業するようになったがやはり職人気質を感じる。そこが大事なのだろう。著者自身のロボットは試作機をつくらずに一発本番で作るという。これは研究開発としては大切な姿勢だと匝も思う。最近の大企業は外注化や派遣社員に補助させることでコストを下げているように見えるが、これでは地味な部分というか影の部分を研究員が知ることも体得することもできない。治具製作ひとつだってノウハウがあるのだから。
中腰で歩くアシモ達と違い彼のロボットは美しい二足歩行をするのだが、これを“SHIN-Walk”という。これも著者の美的センスとアイデアから生まれたのではないかと想像する。しかし著者の美的センスというかこだわりというのを匝が強く感じたのはロボットの“目”だ。
『目には、生命感を持たせたかった。実際にカメラを内蔵しているわけではないが。[ネオン](注:ロボットの名)が自身の目でなにかを見て、考えているように思えるデザインだ。多くの玩具ロボットのようにペンキで描かれた目玉や、たくさんのLED(発光ダイオード)がハートマークに光ったりするのは最悪で、そこに生命は感じられない。』
そのこだわりで著者のロボットの目はかなり手が込んでいる。イメージ的にはビデオカメラのレンズにような奥行きが感じられる。もっともデザインだけで機能は何もないのだが。
でも今の日本では大量生産のモノづくりというのはコストの問題とかでなかなかむずかしい。それに購買層も人のより自分だけのものがほしいという欲求があるだろう。たとえばアイボにしても犬のように名前をつけ、服なども着せている人がいた。アメリカでも掃除ロボットに名前をつけるなどしている人がいる。こういう製品は大量生産よりは少量多品種の生産が合っているだろうし、著者のようなモノづくりの姿勢が活かされる分野だと思う。
ちなみに人型ロボットは実用的ではない。多目的な用途で使えそうだが、専門分野では専用ロボットの方が能率がいい。走るだけなら二足歩行で走るよりも車輪がついている方が速い。
これは“まんがサイエンス8”に描いてあるのだが、人型ロボットは人間が「親しみ」を持って接することができるという利点がある。会話ロボットでも画面に向かって話しかけるよりは人型ロボットの方が親しみを持って話しかけられそうだ。人型ロボットの未来は人間とのコミュニケーションではないかと匝は考えている。そして著者のような人たちがそのような未来を切り開いてくれることを願っている。
結構文章も硬くなく読みやすい本。一度、手にとって読んでみてはいかが。
- [2008/01/04 10:25]
- 匝の本棚 |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://eniguma.blog85.fc2.com/tb.php/624-9426e07f
- | HOME |


とても魅力的な筆者で、わくわくはできる本。しかし、本人の業績と本の出来、内容は別物。
天才って 自分のこと?

コメントの投稿