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(3-b)小田原観測点・水平、垂直アンテナの雷雲による違い 

行徳電波観測の多地点観測用のアンテナは、水平偏波の電波を受信することを目的とする水平アンテナ(ターンスタイルアンテナ)と垂直偏波の電波を受信することを目的とする垂直アンテナの2種が同地点に設置されている。

設置状況は次の写真の通り。屋根馬の上に49.5MHzに同調させたアンテナを取り付けている。

sui.jpg choku.jpg

小田原観測点は多地点としては2番目の設置で約2年間観測し、行徳高校の観測では分かりにくかった水平と垂直アンテナの違いが明らかになった。特に雷雲接近時の違いが大きいように感じられた。

例として2005年3月28日の小田原観測点の水平と垂直の受信機音声出力電圧グラフを示す。

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18時台頃に垂直の電圧が大きくなっている。16時から19時までの毎分データでのグラフは次の通り。
G2.jpg

17時から雷雲が近づいていた。小田原周辺では目立った落雷はほとんどなかったが、当時は曇っていたと推測される。この時間付近の雷雲の状況を当時の東京電力雨量・雷観測情報で確認すると次の通りであった。ちなみに青い点は弱雷雲、赤は強雷雲。○は落雷、△は雲間雷を表す。詳細は東京電力の雨量・雷観測情報を確認していただきたい。

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伊豆半島から雷雲が北上し17時頃に小田原へ到達する。その後18時頃までに通過し19時には神奈川県から雷雲は消える。相模湾沖にて落雷が若干認められるが受信範囲外であったと考えられる。

さて、設置場所が数メートルしか離れておらず、それ以外は受信機の設定もすべて同じであるのに違いがあるのはなぜか。第一にアンテナの形状が違うことが挙げられるだろう。

雷雲が近づくと地上と雷雲の間に弱い電流が流れることが知られている。特に空に向かって立つものは電流が発生しやすく、先端で放電すると青白く光るらしい。実際に見たことはないもののセントエルモの火はこの原理とされる。この放電はコロナ放電といわれ、先端部と雷雲の間で放電路がつながると落雷となる。つまり避雷針は落雷が他に及ばないように自らに落雷するようにできている。

垂直アンテナは写真の通り空に向かう先端の尖った形状をしている。高さも2メートル以上ある。つまり雷雲接近時に先端部でコロナ放電が起こり、その電流が受信機に流れることでノイズが大きくなっていると考察される。

それに対し水平アンテナでは空に向かっている部分がなく、全体として若干電気を帯びている状況のため極端なノイズ変化になっていないのだろう。この日は小田原ではほとんど落雷がなかったため、水平アンテナで落雷電波(空電)を受けることもなかった。

この時にHRO画像は水平アンテナによるもので青白くなっている部分が確認できる。比較のため別の日の雷雲接近時の垂直アンテナ画像をみると黄色と赤の強烈なノイズを受けていることがわかる。

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このことから行徳方式の電波観測では、アンテナの形状によって雷雲接近時のノイズ強度に差が生じることに留意が必要だろう。また電磁波系宏観現象において現象の有無の違いの考察材料になるとも考えられる。
ノイズ強度を観測するにあたり雷雲の影響も考慮する必要もある。雷雲の確認なしにノイズ強度だけで地震前駆現象と判断することは間違いのもとになる。

謝辞
雷雲データは、東京電力の雨量・雷観測情報の画像を使用しました。
http://thunder.tepco.co.jp/
小田原観測点のデータおよびHRO画像は、行徳地震前兆プロジェクト小田原観測点のデータおよび画像を使用しました。
http://www.asahi-net.or.jp/~xr2t-fksm/sizen/zisin/zisin_main.html

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