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おもいでエマノン 

おもいでエマノン (徳間デュアル文庫)
おもいでエマノン (徳間デュアル文庫)梶尾 真治

おすすめ平均
stars切なくて素敵なエマノン
starsとりあえず傑作。
stars豪華
starsエマノンは私と似ています

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なぜ生命が発生したのか。なぜ世界はあるのか。過去とは何か。エトセトラ…
自我を発見し戸惑う頃、こんなことを考えました。今でも変わりませんけれど。


先日、本屋を物色中、鶴田謙二氏5年ぶりのコミックが平置きされていた。それが“おもいでエマノン”。
とにかく鶴田氏が作品を完成させるというのはすごいことで、今までどれだけの話が中断…しているのか。そんなだから本が出ることすらすごいこと、かつすぐに絶版になるので見つけたら絶対に買わないと後悔する。
そんなわけで鶴田氏のSFははずさないということで、内容はよくわからないが即買い。
読んでみると、このコミックには同タイトルの原作があることを知る。会社帰りに探索しブックオフで買い求めました。

生命発生から30億年の記憶を持つ女性。生まれる子供に代々記憶を引き継ぐエマノン。
その時々の世代では名前があるが、30億年の記憶をもつ意識としてはNO NAMEの綴りを逆にしたエマノンと名乗る。そして自分の存在理由に悩みながら世界をさすらい、進化の最先端を進んでいく。

同書は短編8話が収録され、コミックは1話の“おもいでエマノン”をほぼ忠実に描いている。
個人的には“おもいでエマノン”と“ゆきずりアムネジア”がよかった。

“おもいでエマノン”は、フェリーでたまたま乗り合わせた男性に自分が30億年の記憶を持っていることを冗談交じりに話す。そして自分の存在理由について彼の考えを聞くが、最後にはすべてフィクションだといってごまかす。楽しいひとときを過ごした後、突如、姿を消す。
男性はその後結婚したもののエマノンを忘れられずに13年を過ごしたある日。出張先の駅で彼女によく似た女性を見つけ声をかけるが…

再開を果たしたエマノンは男性に「あなたのこと好きよ」という。男性は「なぜ、姿を消したのか」という問いかけをし、エマノンは答える。
「数時間一緒にいても数十年間一緒にいても、好きだったというおもいではわたしにとっては同じことなんだもの」

そうなんだ。30億年という歴史の中で数時間も数十年間も刹那的な時間でしかないのだ。でもフェリーでの男性の考えを聞いてからエマノンは一つの結論に達していた。エマノンという存在は生命のおもいでなのだと。そういう意味でも男性のことは忘れないだろう。

“ゆきづりアムネジア”は、エマノンと出会い、結婚し、出産、そして子供の失踪と妻の死を語る夫と老人の話。短編ごと完結し短編間の時間はちゃんとしていないが、おもいでエマノンで登場したエマノンのその後と考えることもできる話。

記憶とは経験が取捨選択されたもので、忘れたいことも忘れられず、さらに子々孫々まで引き継がれるというのはつらいものだろう。そして肉体は生まれ変わっても永遠の意識を持っているため結局は永遠の命を持つに等しく、いつもひとりぼっちなのだろう。

肉体がなく意識が続いていれば永遠の命と考えてよいのか?
ほかにもいろいろと考えさせて(思い出させて)くれる作品だった。
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おもいでエマノンのエマノンが好きでも男性と結ばれなかったのは、進化の最先端に位置しなければならないという本能のためなのだろうか。

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