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上がれ!空き缶衛星 

上がれ! 空き缶衛星
上がれ! 空き缶衛星川島 レイ

新潮社 2004-06-19
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おすすめ平均 star
star手作り空き缶衛星を打ち上げろ!
star一気によみました。感動しました。
star題材が秀逸なだけに残念!

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小さな時にスペースシャトルがはじめて打ち上げられるニュースを興奮気味にみて、宇宙ステーションのミールでの滞在日数の更新の報に胸躍らせる。そもそも生まれた年は人類がはじめて月にその一歩を記した年だ。そんな匝が21世紀の宇宙開発に若干の落胆をするのも当然だろう。

今ではパソコンもデジカメも電子キットもいろいろあり、やる気にさえなればいろんなことにチャレンジできる時代になった。ただ努力と好奇心が不足気味だったのだろう。そんな時に本屋の片隅で見かけた本こそが「上がれ!空き缶衛星」だった。

心引く空き缶衛星ことカンサットとは、350ミリリットルのジュース缶サイズの中に電池やマイコン、通信機、さらに観測するためのセンサなどを搭載したものだ。この本はカンサットを高度400キロの低軌道上に打ち上げようという日米大学の開発プロジェクトの話だ。

実際には大気圏外へ打ち上げるロケットが見つからず、高度4000メートルまでのアマチュアロケットで打ち上げることになるのだが、これはこれで悪戦苦闘の毎日が続いた。日本からは東京大学と東京工業大学の2校が参加し、東大の理論に基づいた設計と東工大の技術力の対決というのが面白い。初期の考え方の違いでお互いが違う壁にぶつかり解決していくところもとてもいい。結局、最後には助け合うことになる。

最後の最後、とうとう打ち上げて衛星(?)と通信し、回収するまでの喜怒哀楽がとても青春的だ。うまくいった衛星、うまくいかなかった衛星。泣いた彼、身体いっぱい喜ぶ彼。青春の一ページに匝も一緒にその場にいるような錯覚にとらわれた。

宇宙開発事業団(現JAXA)の施設で振動実験を行い、両大学とも振動に耐えられず壊れていったという話も面白かったが、一番心に残ったのは、日本側の言いだしっぺである東大の中須賀教官の悪戦苦闘だ。予算の話は米国側との行き違いで、渡米費用はほとんど用意されていなかった。さらに東大だけでなく東工大へも声を掛けていたのでその費用も含めると300万円。この金策に四苦八苦することになるのだが、とにかく「このプロジェクトは正しい」という信念を持って不足の100万円の自腹を切って渡米することになった。まさに学生にとってとてもよい教官だったのだと思う。ちなみに東工大の分は東工大でどうにかするということになったそうだ。

読み終えて考えたことは、成功したかしないかという以前にこういう経験いや機会があった人は恵まれているということだろう。別に宇宙に空き缶衛星を打ち上げるということではなく、みんなで何かを考え、悩み、作っていくという体験。匝も知識欲はあって本はいろいろ読んだ。でも小さい頃、興味を持った電子工作などは周りにやっている人もいなかったので、あの頃にそういう機会があれば少し違った人生だったのかもしれない。もっとも、今からでも十分に間に合うと思うし、それだけの好奇心はあると思う。

ところでカンサットはさらにプロジェクトが進み、10センチのキューブサットとして周回軌道上に打ち上げられている。これはまた続編として本が出版されているが、まだ未読だ。


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